一枚の紙の重さ

 授業が終わり、マイクを片付けたりiPodをしまったりしていると、一人の学生が近づいてきた。いつもながら華やかな装いの彼女は一枚の紙を手にしている。「欠席届」だ。何気なく受け取ると、欠席事由の欄には「父他界のため」とあった。
 毎年500人くらいの学生と関わってると、このようなことはたびたび経験する。現に、今年の夏に試験が受けられないと連絡を取ってきた相撲部の男子学生も、お父さんの葬儀が理由だった。
 成人式の晴れ着も、卒業式の袴も、結婚するなら花嫁姿だって、お父さんに見てもらいたかったことだろう。一枚の紙の重さに耐えきれず、心がときどき折れそうになる。