忘れた頃に見つかるなんて

 お彼岸の中日、父の墓にお参りする。お寺に着いたのは4時半を過ぎていたが、ずいぶんたくさんの人で賑わっていた。
 庫裏の入り口でお線香をお願いするとき、いくつかの忘れ物が並べてあることに気付いた。「あらあら、こんなものまで忘れちゃうんだ」と思いながら眺めていると、右の端に見覚えのあるものが。何年か前の報恩講のときになくしてしまった念珠入れだ。
 広島で2回目の月例会が開かれたときだったと思う。駅前の福屋だったかその隣のビルの店先で買い求めたものだった。ずいぶん愛用していたのだが、お斎の後片付けか何かをしているうちに見失ってしまい、もうとうに諦めていた。
 どなたかが見つけてお寺に届けてくださり、それ以来何年もお彼岸やお盆といったたびごとに忘れ物として並べられていたのだろう。なくすのも縁、見つけていただくのも縁、戻ってくるのも縁、とうとう見つからないのも縁だが、今は何年かぶりにこの手に戻ったことを喜びたい。


 今日の1枚は(左から)手に戻った念珠入れ、なくしたと諦めて新たに買い求めた念珠入れ、略肩衣を並べて撮ってみた。お念珠を出せばよかったなあ。