『あんどーなつ』を我が宗門のイメージキャラクターに!

 月曜日は『あんどーなつ』の日。ベタベタのドラマなのだが、不覚にも落涙してしまうのである。
 原作のマンガでは、主人公の安藤奈津は福井の出身で、真宗の門徒である。コミックス第6巻の第6話に、以下のようなやりとりがある。秋の彼岸を前に、女将さんが奈津に喪服を手渡すシーンである。長くなるが、文字を起こしてみよう。

   奈津:それじゃ、この喪服は…
      わざわざわたしのために仕立ててくださったんですか。
   女将:ええ。
      おせっかいかもしれないけど、
      働いてもらってる店の主人である私は、なっちゃんの親代わりでもあるから…
   奈津:本当に……本当にありがとうございます。
      女将さん……
 親方・梅:よかったな、奈津!
 職人・竹:大切に着なよ、なっちゃん。
   奈津:はい!
      すごく嬉しいです!
 職人・竹:と言っても、喪服はあんまり着る機会が無い方がいいなぁ。
      箪笥の肥やしのままの方がさ。
 親方・梅:いいや……
      奈津の場合は、可愛そうだけどお父さん、お母さん、
      それにおじいさんも亡くなっているんだ。
      だからよ、法事とかお彼岸の墓参りに着ればいいのさ。
 職人・竹:けど梅さん、
      なっちゃんの田舎は遠いですし、
      今度のお彼岸だって………
   奈津:いいんです。
      お墓参りに帰らなくても、わたしが一生懸命お仕事をしていればきっと……
      天国の父や母、祖母や祖父も許してくれると思いますから……
   女将:ちょっと待って、なっちゃん。
      なっちゃんちの宗派は確か、
      浄土真宗だったわよね。
   奈津:はい。
      うちは確か…お東さん…東本願寺だったと思います。
   女将:それならこの浅草でも大丈夫よ。
      ね、梅さん。
 親方・梅:へい、女将さん。
 職人・竹:そうですね!
   奈津:あの………
      どういうことですか?
 親方・梅:浅草の門跡様があるのさ。
      浅草は浅草寺だけだと思ったら大間違いだぜ、奈津。
   奈津:浅草の門跡様…?
   女将:東本願寺よ。浅草にもあるの。
   奈津:ほっ、ほんとですか!?
      わたし、何も知らなくて…恥ずかしいです。
 職人・竹:何、恥じることなんかないさ。
      なっちゃんは、この浅草に来てからこの方ずっと、仕事に一生懸命だったんだ。
      知らなくたって、恥でもなんでもないよ。ね、梅さん。
 親方・梅:ああ。
   女将:お墓はなくても、浅草の門跡様の阿弥陀様が、なっちゃんのご供養する気持ちを、
      天国のお父様、お母様、おじい様、あばあ様へ…
      きっと届けてくださるわ。
   奈津:………
   女将:だから、お参りしていらっしゃい。浅草の門跡様へ。
   奈津:……は、はい!!

 これは、奈津の実家のお手次ぎの寺が「浄土真宗東本願寺派」に属しているというような複雑な事情を表現したものではないと見るべきだろう。浅草の人たちにとって、門跡様、つまり浅草の本願寺はいつだってそこにあったということだ。
 この門跡様が私たち真宗大谷派の手に戻る日はいつになるのだろう。現実と浅草の人々の「庶民感情」との間に生じている「ねじれ状態」を解消するためにも、その日が来ることを心から願ってやまない。


 それにしても、天国、天国って…。まったく。