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 高速道路で移動することが多くなり、山手トンネルを利用する機会も増えた。延長6.7キロメートルというから、相当に長いトンネルなのだが、ここをヘッドライトを点けずに走るクルマが実に多い。黒い影が後ろから忍び寄ってくるのを待ち受けるのはあまり気分のよいものではない。車線変更の際にも距離感がつかめずに苦労する。
 ヘッドライトは暗い道を照らすだけではなく、自分の存在を周りに早く気付かせる役割も持っている。最近、日中からヘッドライトを点けて走っている二輪車が増えたが、これはその目的があってのことだ。
 スウェーデン製のクルマに乗っていた頃、ヘッドライトのスイッチが不便なところにあって困ったのだが、かの国では四輪車も日中からヘッドライトを点けることが義務づけられているのだそうだ。だから、一日に何度もパチパチとスイッチを入れたり切ったりしなくてよいのである。それで、スイッチは不便な場所にあっても構わないわけだ。そもそも、スウェーデンのクルマはエンジンを切るとヘッドランプも消えてしまう。ヘッドライトのスイッチなど一度も触らない人もいるのではないか。
 そんなクルマに備わっていたのが「フォローミーホーム機能」という機能だった。エンジンを切った状態でも、ある操作をすると30秒ほどヘッドライトが点くのである。その光に道を照らしてもらって家の玄関までたどり着くというわけだが、そんな広い庭のある家とは無縁だな、僕の場合。