銀行嫌いは加速する

 私たちの学会が賞を設けることとなり、事務局でその基金を預かることとなった。会の口座とは別に新たな銀行口座を設けようと思い、今日は午前中で仕事が終わるので、帰り道、ある都市銀行に出向いた。50分ほど待たされて、ようやく窓口に呼ばれ、そこで聞かされたのは以下の内容だった。

  団体の名義で口座を設けたい場合には上席の決裁が必要となる。
  今日は申し出を受けるだけで、口座開設の可否については一両日中に電話で連絡する。

 もちろん、出した名刺をすぐにひっこめ、出しかけていた会の名簿や規約や印鑑もしまって、早々にその場を離れた。口座が開設できるという約束もないのに、名を名乗り電話番号を伝え会の規約やら何やらを預けて帰るほど僕は銀行を信用していない。
 マネーロンダリングですか。トンネル口座ですか。たいがいにしてくださいな。「英語教育の史的研究を進め、英語教育に関する認識を深めるとともに、英語教育の発展に寄与しようとする*1」僕たちの会は、すぐには都市銀行の「顧客にしていただく」ことも許されないのだ。
 もはや、こういう面倒くさいことを避けるために僕たちに残された道は、会として「NPO法人」を名乗ることしかないのではないかとも思えてきた。実際、NPO法人の名を冠している学会は相当数あるようだ。この5文字さえあれば銀行の窓口では「ノーチェック」なのだというが、一方で内閣府では認証団体に対して「内閣総理大臣がお墨付きを与えたわけではない」と明言している。僕らはいったいどういう社会を生きているのだろう。

*1:「日本英語教育史学会設立趣意書」より