裏のある話

 昨日のテレビで見た「ヴェトナム麺」なるもの。これは絶対においしいはずと判断し、仕事帰りにクルマを飛ばして銀座まで。のどの調子はあいかわらずおかしいのだが、食欲はしっかりあるし胃腸の状態もまったく問題ないのである。「身体も温まるしちょうどいいのでは」などと勝手な理屈をこねての寄り道だったが、予想通りのおいしさであった。
 テレビで見たものを次の日に食べに行くなどというミーハーなことをしたのは初めてだが、世の中にはそういう人は多いようだ。僕が寄ったときにもテレビを見て来たという人が2組いた。銀座に勤めているうちの姪も帰りに寄ってきたと言うので「ヴェトナム麺」を話題にちょいと盛り上がったのだが、姪の寄ったときには満席の店中のお客さんが全員「ヴェトナム麺」を食べていたとのこと。あまりにお客さんが多く、お店の人が麺の追加発注をしていたそうである。
 テレビの影響力というのはすごいものだと思う。しかし、同時にテレビの嘘というもののことも思う。その店は中央通りからビルとビルのすき間の狭い路地を入ったところにあるという話だったが、それをテレビで見たときに「絶対に裏からも行けるはずだ」と思った。案の定である。中央通りの1本東側の通りからならば、路地を抜けずに店に入れる。ものには裏があるということだな。