一粒300メートル

 エビ2本、アナゴ、イカ、メゴチ、ホタテ、カニ爪、シシトウ。以上が先日食べた練馬区のNという蕎麦屋の「魚介天ぷら」である。値段は1,600円。
 一方、荒川区のKという蕎麦屋では「生桜えびのかき揚げ」が1つで1,200円、「小柱のかき揚げ」も同じく1つで1,200円だった。まずいわけではないが、これを食べなければ損というほどの出来とも思えなかった。気に入らなければ二度と行かなければよいのだから、どんな値段をつけてもらってもかまわないのだが、高いものを変にありがたがるような気分が客の方にあるのではないかと思えてならない。
 蕎麦屋の帰りに寄った洋菓子屋では、ショーケースをのぞくと、500円のケーキの隣りに一粒300円のチョコレートが並んでいる。気に入らなければ買わなければよいのだから、当然買い求めなかったが、価格設定とはどういうものなのかわからなくなる。
 まあ、ものの値段などというのはいい加減なものではある。ボール200円、ガツ刺し250円、カシラ70円、ナンコツ70円といった店でベロベロになるかと思えば、1杯2,000円以上のシングルモルトをちびちびやっていたりもするわけだ。問題はどう納得するかなのであろう。