一晩中照らしてあげよう

 今日は国立の大学へ。「こくりつ」ではなく「くにたち」だが、昔々、天地真理の出身校を「こくりつ音楽大学」と紹介しているテレビを見たことを覚えている。これに限らず、どうでもいいことほど忘れられないものではある。
 分寺と川の間にあるから「国立」の名が生まれたというのは常識だと思っていたが、そうでもないようだ。僕の地元にも「田+根=梅島」とか「原+根=栗島」とか言った合成の地名や駅名や校名があるが、その話はまたいずれ書くことにしよう。
 国立の大学への出講は週に2回。クルマで2時間ほどの道のりだ。家を出るのは6時頃で、この季節だとまだ夜も明けていない。人通りもほとんどない暗い道。クルマを走らせていると、植木に巻き付けたイルミネーションをピカピカさせている家が結構あることに気付く。クリスマスの飾りをしまい忘れたのだろうか。六本木のけやき坂通りは2月14日までだそうだから、それにならっているのかしら。それとも一年中片づけないのかな。
 それにしたって、一晩中明かりを点けておくというのはどういうわけだろう。木だって生きてるってのにあんまりだ。夜になったら寝かせてやってくれ。
 植木にイルミネーション用の電球をぐるぐる巻きにして夜通し点滅させて平気でいる人には、僕がまったく同じことをしてあげよう。それともテレビドラマで取り調べをする刑事のように、電気スタンドの明かりをぐいぐい顔に近付けてやろうか。そうだね。それがいい。そうやって一晩中照らしてあげよう。