星になれたら

 めったに使わなくなったTwitterの数少ないフォロワーを整理しているうちに、高等学校三年生で学級担任を持ったひとりの生徒の近況を知る。この春、医師としての第一歩を踏み出したという。
 私は、彼女たちが卒業した翌年にその学校を離れて今のような暮らしを始めたのだが、しばらくしてその彼女が久しぶりにメールをくれたことがあった。うれしかった。医学部に合格したこと、東京を離れて勉強することになったこと、明日が入学式であることなどが記されていた。
 あれからまた何年かのときが流れ、今度は晴れて国家試験に合格したのだ。進路について面談したこと、お母さまとお話ししたこと、調査書やら何やら書類を整えたこと、どれもこれも懐かしい。あのときの夢をずっとあたためながら、それをかたちにするために一歩ずつ歩いてきたんだ。がんばったね。おめでとう。
 今や、元担任が元生徒に Facebook で連絡を取る時代なのである。彼女からの返信には、受験を前にした高三生のために催される「壮行会」で私の歌った歌のことが触れられていた。

  長く助走をとった方が
  より遠くに 飛べるって聞いた
          「星になれたら」桜井和寿(『Kind of Love』所収)

 この歌詞に励まされたという人からこの歌のことを教えてもらい、やがて、それは私を励ます歌になった。そして、ときの流れの中で、この歌は彼女を含む多くの生徒たちを励まし続けたのだった。
 そろそろランディングかという時期に新しい助走を始めてしまった私には、夢をかなえた彼女の姿はちょっとまぶしすぎるくらいだ。どうかよい人生を。いのちの限りを精一杯に生きる人々に、自分のことばで寄り添うことのできる素敵なドクターになってくれることを願っている。
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