じゅらく

 京都で開催される会の理事会・研究例会に備え、いわゆる「前乗り」をする。月曜日の動きを考え、宿は新大阪駅の近くに取った。
 夕刻、新快速で京都へ。駅前で大会会長のO氏と待ち合わせ、地下鉄で四条へ。西へぶらぶらと歩くことにした。鴨川を渡って縄手通りを上がり、この辺りでは有名な安い居酒屋のカウンターに落ち着く。刺身を盛り合わせてもらったり、万願寺を焼いてもらったり。酒は松竹梅の「豪快」を燗で。
 O氏とのお付き合いは長いつもりだったが、これほどゆっくりと話したのは初めてだったかも知れない。学問のこと、文芸のこと、世情のこと。飲み食いよりも、ことばを発することで口が動く。
 夜も更けて木屋町通り。O氏が案内してくれたのは、古本屋の倉庫のような、大学の研究室のような、本や雑誌や写真やレコードが無造作に重ねられた不思議な空間だった。ここで酒が飲めるという。
 ほどなくU氏が合流し、明日の理事会に備えてあれこれを打ち合わる。新たな研究テーマにも思い至った。誰か時計の針を進めたか。新大阪に戻る終電を調べておいてよかった。