弓で絵を描く人

 所属寺でチャリティーコンサート。お知らせに使えたのは2週間ばかりの短さであったが、よくその趣旨を受け止めていただけたのだろう。出足の鈍さに不安もよぎったのだが、気がつけばあふれるほどの方にお越しいただいていた。
 本堂の様子を座敷のスクリーンに映す新企画も無事に実現。本堂に入れなかった方にはこちらで演奏を楽しんでいただいた。おしるし程度では申し訳ないと思っていたのだが、予想以上の臨場感に評判も上々であった。
 今回、コンサートを持ちかけてくださったのは所属寺のご門徒でもある胡弓演奏の第一人者。演奏を聴きながら、弓で絵を描く人なのだと思った。
 急遽任された進行役。お手のものでしょうなどとよく言われるけれど、今回ばかりはひどく緊張した。14時46分に合わせた黙祷。思いもよらぬ2部構成。少しばかり腰に来たようだ。終演後、満堂のみなさんに義援金の集計結果を報告するときには大きくこみ上げるものがあった。
 こうすればよいという方法の問題ではない。どうにもならぬ現実に悩むだけ悩み、苦しむだけ苦しみ、突きつけられた問いかけを前にひとりひとりが立ち上がる決心をしたとき、何かがほんの少しだけ動くのかも知れない。