Radio League

 ひょんなことから、W先生がラジオのフリークであることを知る。日中の番組は録音しておいて、帰宅後に聴いていらっしゃるというからホンモノだ。
 TBSラジオの「日曜日の秘密基地」と「ストリーム」がいずれも終わってしまったことをともに悲しみ、商業放送において政治性を表出するには残念ながら限界があったのだという点で意見が一致する。いい番組だ、頼りになる番組だと思っていると、何かの力によって打ち切られてしまう。実際、そんなことがずっと続いている。
 研究室におじゃまし、こんなものが出てきたんだよと見せていただいたのは、1982年6月の「パックインミュージック」を録音したカセットテープだった。野沢那智と白石冬美が長く続けて来た番組だが、それがついに終了することが発表された直後の放送分だ。
 その中身をCD-Rに焼いたものを貸していただき、帰りのクルマの中で聴いた。番組の打ちきりに対する怒りや悲しみを笑いで包んだリスナーからの便りの数々は実に知的なものだった。ラジオの深夜放送が「文化」と呼べるものを生み出していたことがよく理解できる。
 ラジオは、数字や金や、その他の得体の知れないものにずっと振り回されてきた。同じようなことを何度となく繰り返し、とうとう行き場のないところまで来てしまった。突破口はどこにあるのか。突破することなく終わりを迎えるのか。聴取者のはしくれとして、気がかりでならない。