今さらながら(3)

 今さらながら、生誕100年という太宰を読み直したりしている。岩波文庫版の『人間失格』を読んでいたら「脚絆」ということばに「レギンス」とよみがなが振ってあることに気付いた。
 今、レギンスを穿いて歩いているお嬢さんたちは「脚絆」などということばにはきっとなじみがないだろうなあ。脚絆をレギンスと読むのは軍隊用語の流れだろうか。あるいは、旧制高等学校あたりの文化か。
 太宰とは関係ないが、私は「よみがな」や「ふりがな」のことを「ルビ」とは絶対に呼ばない。これはもともと組版の用語。関わりのない業界の用語を粋がって使ってはかっこ悪いかと思って。一時は「級数を下げる」とか「歯送りを変える」などと言っていたこともあるが、最近は反省のもとにそういった表現の使用も控えている。