おとなの水遊び

 なんだか気分がさっぱりしないときには風呂を掃除するのである。亡くなった父がむきになって浴槽を磨いていたことを思い出すと、ちょっぴりおかしくもなるが、血は争えないというか何というか。
 風呂の窓にブラインドを取り付けさせた設計者のセンスを疑いつつ、こういう図面を引く輩は絶対に自分で風呂の掃除などしないのだろうとぶつくさ言いながら、そのブラインドも1枚ずつ拭くのである。巻き取り式の風呂のふたが壁の手すりに干渉してうまく巻き取れないことにイライラしながら、図面を引く前に一度でいいから自分で風呂を磨いてみろよと文句をたれつつ、そのふたにカビ取り用の液剤をかけてピカピカにするのである。
 風呂の掃除を好んでするのは、風呂場で色水など作って遊んだ幼い日の記憶とつながっているのかも知れない。いつまでたっても水遊びが好きなのである。火遊びでなくてよかったかも。