続いて、モンゴル語学科…

 菊池幸見著『岩手でござい!』(1993、青森:おふぃす・ぐう)が、北の町の古書店より届く。著者はIBC岩手放送のアナウンサーで、電波によく乗る明るい声の持ち主だ。文筆活動も続けていらっしゃるそうで、いくつかの受賞歴もお持ちとのこと。
 さっそくパラパラとめくっていると、こんな文章が目にとまった。

 3月になると高校合格者発表の仕事がある。午後4時からえんえんと、実にえんえんと合格者の氏名をラジオで読み上げる。これを各地の中継所からもやるのだ。(以下略)

 僕らの頃には、国公立大学の合格者の名前を読み上げてくれるラジオの番組があった。深夜の放送だったが、もう合格発表を見たあとだというのに、録音しながら自分の名前が読まれるのを待ち受けたことを思い出す。
 高校受験のときには、そのような番組はなかったはずだ。都立高校は合格者の人数がべらぼうに多いということもあるが、合格者が受検番号で発表されたので放送には向かなかったのかも知れない。
 いや、そんなことよりも、もっと大切なことがある。東京には「ローカル」の放送局というものがないのだ。東京の放送局は、すなわちキー局であり、全国ネットの中心なのである。地域に密着した放送などというものは、望むことすら無理なのかも知れない。