12歳の冬も本番

 今日は東京都内にある私立中学校が実施する入学試験の「解禁日」である。朝、クルマで出かけたところ、試験に向かうのであろう親子連れをたくさん見かけた。
 今年は2月1日が日曜日に当たったため、キリスト教系の学校のいくつかが「安息日」を理由に日曜日の試験実施を避け、入試の日程を変更している。いつものことではあるが、こんなことを許してよいものだろうかと思う。志願者の増減と入学難度の変化といった「入試地図」に影響が及び、受かるはずの子が涙を呑むことになるではないかというようなことも問題ではあるが、もう少し違う角度からも考えてみたい。
 試験を受けに集まってくる小学生は、身体も小さく交通機関の利用にも不馴れだ。そういう子どもたちを集めて試験を行うならば、乗り物が空いていて道路も空いている日曜日にこそ、むしろ積極的に試験を実施すべきではないかと思うのである。せっかく日曜日に当たったのに、わざわざ外すとはいったいどういう了見かと問いたいのだ。
 中学校の入試はおよそ1週間続くが、この際、試験が集中する「解禁日」については、《2月1日》といった「日付主義」ではなく、《2月の第一日曜日》といった「曜日主義」で設定してはどうかと思う。仮に「曜日主義」を採用して「解禁日」が必ず日曜日に当たることになったとすれば、「安息日」の建前を崩したくない学校は、毎年その翌日以降に試験をすればよいのである。
 そのような学校を含めて、平日に試験を実施する場合は、始まる時刻を10時頃にして、集まってくる子どもたちがラッシュアワーの混雑に巻き込まれないようにしてはもらえないかとも思う。もっとも、昨今は当日中に合格者を発表するのが当たり前になっているから、志願者の多い学校や面接試験を課すような学校では、開始時刻を遅くしたのではとても時間が足りないと言うだろうし、一日に2回も3回も試験をする学校も増えてきているようだから、そういうところはとても乗れない話だと言うであろうけれど。
 もちろん、私立学校には私立学校の論理がある。生徒を集めて学校を成り立たせなければ始まらないということはよくわかる。その意味では、素人が口を出せた話ではないのかも知れない。しかし、たとえそうであったとしても、子どもたちの安全を真剣に考える視点というものをないがしろにしてはならないと思うのである。