ZONEの時代

 夏恒例の片付けもの。今年は大がかりに5年ほど手付かずだったものどもをバタバタとひっくり返してみる。
 探していたパスポートは今年の11月が有効期限だった。後期が始まる前に更新しておこうかな。とりあえず、どこへも行く予定はないが。なくしてしまったと思っていたシステム手帳も見つかった。FILOFAX の SLIMLINE。バイブルサイズで細身の手帳は最近あまり種類がなく、新しいものを買うにしても気に入るものがなかったのだった。助かった。
 書類が納められた箱から、ボロボロになりかけているガリ版刷りの冊子を見つけた。表紙にはZONE とある。父が若い頃に仲間たちと出していた詩の同人誌だ。この号には父の詩は掲載されていなかったが、諸連絡のページに転居の通知があった。この雑誌で知り合った母と所帯を持った頃のようだ。
 最後のページには、他の同人誌仲間からの通信が何件も載っている。その中に、ZONE の前の号への感想を寄せる「川崎洋」の名を見つけた。詩人・川崎洋は昭和5年の生まれ。父の2級上の人である。あの川崎洋とあの父とが、同じ時代を生き、詩作を通じて結ばれていたことを知る。
 父が亡くなる前、詩を書いている頃に北川冬彦氏から手紙をいただいたという話をしていたことを思い出した。片付けものは明日以降も続くが、さて、発掘することができるかどうか。


 今日のタイトルは、ZONE の全巻を翻刻して解題とともにいつか一冊の本にするときのために用意してあった「書名」を転用した。職業詩人になれなかった貧乏詩人の子はやっぱり貧乏で、なかなか本は出せそうにないのだが。