ファンタジーの危機

 昨日のショックは今日の昼前まで続き、なんだか疲れてしまった僕は映画を見に行ったのだった。予告編を見てからずっと気になっていた『魔法にかけられて(原題:Enchanted)』。
 これまでつくり上げてきたディズニー的な世界観は「セルフ・パロディー」の名のもとにボロボロにされてしまうわけだが、おとぎ話はディズニーだけのものか。おとぎの世界と現実の世界との関係を単純化されたパラレルワールドにおとしめてしまってよいものか。
 おとぎの世界において、また現実の世界において、それぞれに「閉じて」いなければならないものは必ず存在するはずである。そして、閉じながら開き、開きながら閉じるという緊張関係が無ければ、成立し得ないのがファンタジーというものだ。荒唐無稽、もしくはでたらめをファンタジーと呼んでもらっては困るのである。彼らにはファンタジーが描けないのだと思う。気の毒だが。