とろとろ、どろどろ

 全国大会第二日。9時半から昼休みをはさんで14時まで、2つの部屋に分かれて13本の研究発表を聴く。ベテランから今回が初めての発表という会員まで、バラエティ豊かなラインアップである。発表における着想の新しさにうなり、ひとつひとつのことばを確かめながら話す人の思いに寄り添おうというフロアの発言にうなずいた。
 14時過ぎ、副会長のあいさつをもって全日程を終了。来年は通常通り5月に東京で開催の予定だが、いくつかそれまでにクリアにしておきたい課題も残った。今回は特に質疑を含めて25分という発表時間の短さを感じた。それだけ、1本1本の発表のレベルが上がってきているのだ。さらには、発表後の質疑応答を大切にするというこの会のよい伝統もいよいよ息づいているのである。
 15時より、科学技術振興機構の担当者を東京より迎え、学会誌の電子化について打ち合わせる。遠路お越しいただき申し訳なかったが、おかげで、すべての編集委員と学会会長・事務局長が揃う場での打ち合わせるが叶い、さまざまのことをスムーズに運ぶことができた。この先、もろもろの作業が必要だが、9月末をめどに完了したい。
 1時間半の打ち合わせを終え、駅に向かおうと全国大会の会場だった大学の門を出ると、その途端に土砂降りとなった。運よくタクシーを拾うことができたが、駅前に着けば、新しい市民球場から出てきた人たちであふれるほど。
 3人を見送り宿に引き返すと、見計らったように夜の誘いの電話。電子化の打ち合わせを終えた頃には胃の痛みも治まっていたものだから、うっかりそれに乗ってしまい、お好み焼、アイリッシュパブ、小イワシで日本酒と、通常とは逆の流れで市内をうろうろする。来年度大会の準備会も兼ね、とろとろと甘い酒をなめながら、どろどろと夜に溶けていく。