Bill Gates Hypothesis

 月に一度の医者へ。いつものように体重と血圧を自分ではかり、面談の上、薬を処方してもらって帰る。だいたい聞かされる内容は決まっていて、とにかく体重を落とせと。で、私は少しは努力をして、4月から5月の間で4キロ、5月から6月の間で2キロを落としたのだ。
 それにしたって、私の主治医はひとを励ますことが不得手なのである。曰く、1キロや2キロは誤差だと。そんなことは学部の時代に『言語テスト論』の授業が「統計論」の分野に入ったとたんにドロップアウトした私にだってわかることだ。けれど、1ヶ月あたりでは誤差のような減量だって積み重ねていけば成果になるというものではないのか。だいたい、血液検査の結果については完全なデータ主義なのに、体重については主観評価が優先するというのもまったく不首尾な話だ。私も、教室で学生や生徒に勉強のことでこういう対応をしないように気をつけなきゃ。
 まあ、大金持ちが10万円を落としたところで痛くも痒くもないように、私が10キログラムを落としたところで何がどうなるというものでもないのかも知れないけれど。ちなみに、これをダイエットにおける「大富豪仮説」と呼ぶ。英語では Bill Gates Hypothesis。どちらも私が名付けた。