旅のレストラン

 公欠のため試験を受けられなかった学生が何人もいたので、受験の機会を設けるために国立へ。車検整備中の代車は軽自動車。ETCもついておらず、朝からの雨の中を慣れぬクルマで高速道で出かけるのも不安なので、久しぶりに一般道を使ってみた。出足に決定的な力不足を感じたものの、慣れてしまえばそれなりに快適な移動だった。
 大学に着く頃には雨も上がり、皆既日食の時刻には日の差すことも期待したが、残念ながらそれはかなわず。空の暗いのが雲のためなのか日食のためなのかも判然としないまま、そのときを迎えたのだった。日本では46年ぶりだとか次は26年後だとか言われ、この6月まで今年が「世界天文年」であることも知らなかった私もずいぶん気にしてはいたのだが、つくづく人間の思いの通りにはならないものだと思う。
 世界天文年のことを詳しく教えてくれたMi君は、この日食を見に上海まで行ったようだが、朝のラジオではあちらの空模様も思わしくないとのこと。さぞかしがっかりしていることだろうと気の毒に思うが、来年7月のイースター島に期待をかけてもう予約を済ましているのではと、そのたくましさを想像してみたりもする。
 試験を終えて帰ろうと英語の研究室にあいさつに出向くと、以前の主任教授で現在は嘱託勤務の先生が、今日の出勤を補講の扱いにして手当の支給を受けなさいとアドバイスしてくださった。一度は辞退したものの、「専任職だって、自分に仕事がないと思えば出てこない日なんですから」とのことばに、ありがたく意を翻すことにした。すぐに電話で事務方と掛け合ってくださり、面倒な手続きも見事にクリア。こういった温かみもこの大学の持つ大きな魅力のひとつだと思う。感謝。


*今日のタイトルの連想がおわかりの方には何かを差し上げたい気分です。