Family Affair

 新宿スペース107の「ROUGE の Family Affair」は、今日の昼の公演をもって千秋楽。K君と見に行く。
 初日を見たあと「役替わり」の面白さを感じたという主旨のことを言ったら、それは特定の舞台を見続けている者の用語だとの指摘を受けたので、それに続けて「新公(新人公演)」を見ているような面白さもあったと言うのは差し控えた。だが、新曲にダブルキャストを組んだり、既存の曲にこれまでとは異なる演者や新人を登用したりしたところに今度の公演のおもしろみのひとつがあったことは間違いない。
 演者を固定することによって生まれる安心感や安定感は角度を変えてみればマンネリズムにもつながるわけで、それを打破しようとする姿勢は、観る者はもちろんのこと、演じる側にも大きな刺激となったはずだ。演者を固定した曲にも、新たなアレンジメントを施し、新たな踊りを付け加えることによって、新鮮味とともに奥行きを生み出すことに成功している。
 前半の「新感覚ミュージカル」は、このために書き下ろされた新曲の数々によって、その主題が十分に明らかにされている。それは、公演のタイトルともなっている「家族」を、これが持つ虚構性、もしくは「共同幻想性」とでも呼ぶべきものを引き剥がすことによって根本から問い直し、新しい文脈のうちに自分たちの手で再構築していくということにある。
 その「ミュージカル」の中盤、かぶりものをして踊るさまは滑稽ではあるけれど、演者の表情にはある種の晴れがましさが見出せる。終盤、すべての演者が次々に歌いながら登場し、手に手に持ち寄った部品で「家」を組み立てていく演出は、なんとも象徴的なものであった。これも特定の舞台を見続けている者の用語ではあるが、華やかな「パレード」を見る気分もした。
 レビューとは何か。このまっすぐな問いにすぐに明確な答えが得られるとは思わないが、レビューが歌と踊りを手放すことはないはずだ。ROUGEがレビュー・カンパニーとしてあり続けるのであれば、表現方法としての歌と踊りをどこまでも突き詰めてもらいたいと願う。私を含む固定ファンで客席のほとんどが埋められるようになった今だからこそ、今後への期待を込めて言わずもがなのことをことばにしておきたい。