払込取扱票

 ゆうちょの振替口座を持っていると、入金のあるたびに「振替受払通知票」が郵送されてくる。これには「払込取扱票」のコピーが添えられており、手書きされた住所・氏名のほか、メッセージもそのままに読むことができる。年度末を迎え、会費を送ってくださった100人分ほどの伝票をめくり直してExcelの会計シートと照合するのが、会の会計担当者である私の仕事のひとつだ。
 7月7日付の1枚の「払込取扱票」のところで手が止まる。この先生は、その半月後にお浄土に還られたのだ。あらためて見てみると、先生ご自身の筆跡に似てはいるのだが、どこか少し違う。ご葬儀のあと奥さまからお手紙をいただいたことを思い出し、引き出しから取り出して比べてみる。このお手紙をいただいたとき、ご夫婦でよく似た印象の文字を書かれるものだと感じたことを思い出した。
 先生がこの「払込取扱票」を奥さまに託されたのは、おそらくは病床にあってのことだったのだろう。いのちを尽くす瞬間まで、この会をこころにかけてくださった先生のことを憶う。その生き方のすべてが私たちへのメッセージであったことを確かめる。