社会派散歩

 東京の坂を歩く。9時過ぎに西落合にクルマを置き、バスと電車を乗り継いで四ツ谷駅まで。10時を少し過ぎたところでK君・M君と合流する。今年は、まず紀尾井町を中心に麹町・平河町・赤坂見附の辺りを歩くことにした。
 紀尾井町では多層化された人工地盤を残してぽっかりと大きな穴を空けてしまったような土地を見つける。インターネットの力を借り、それが世間を騒がせた「地上げ事件」の跡であることを知ったが、巨大な「マネー」が地形をも変えてしまうことをここでも認識する。
 麹町では、食糧会館が消えてしまっていることに気付いた。食糧会館は全米販(全国米穀販売事業協同組合)の持ち物だったが、2006年の暮れに長谷工の手に渡り、昨年の暮れに三菱地所の関連企業が建て替え工事を始めたとのこと。この建物の裏側にあったのが「お川」である。この和食の店も今はない。
 地下鉄で表参道に移動し2コース目を始めようとするが、疲れと雨のため計画を大幅に変更。M君と別れたあと、神宮前の「ネッコ坂」なる緩やかな坂道を上がって青山通りに出る。狭い道沿いの店舗向け賃貸物件には空室が目立ち、需要と供給のバランスが崩れていることを考えさせられる。
 骨董通りに入り、高樹町の手前、南青山六丁目から六本木通りの南青山七丁目交差点に抜ける新しい道を歩いてみた。つい先日開通したこの道は、この先、東四丁目、広尾高校前、渋谷橋と通って、恵比寿駅前に抜ける道につながっている。距離としてはたいへん短いのだが、交通の流れを大きく変えそうだ。
 夕刻を過ぎ、K君は箱崎の方まで芝居を見に、私は西落合まで勉強に。日付も変わろうとする頃、コインパーキングからクルマを出して帰宅の途についたが、街は変わり続けることを改めて知った長い一日だった。