幕を開けるとき

 さあ、春のおどりの開幕だ。この話についてきてくれる人と知り合いたい。今日から、大阪の松竹座でOSK日本歌劇団の創立90周年記念公演「レビュー春のおどり」が開催されるという話なのだが、ここまで読んでも何のことやらという人も多いはず。ああ、この話についてきてくれる人に出会いたい。
 朔太郎は「ふらんすへ行きたしと思へども/ふらんすはあまりに遠し」と言ったけれど、今の私には、フランスに比べればずっと近い大阪があまりにも遠く感じられる。だが、授業が始まっていなければよかったのにと考えるうちに、ふと昨年のことを思い出した。始業を半月も遅らせた大学もあれば、予定は一切変更せずに新年度を迎えた大学もあった。会では、3月の京都例会を中止し、5月の広島大会を延期したのだった。大阪へ行こうと思えば行ける状態にはあるが、仕事があってそれが叶わないという今の事実をありがたく思う。
 東京ではOSKはニュースにならない。来年の春には日比谷の日生劇場で公演が予定されてはいるが、「来年の3月、来年の3月」なんて「幾代餅」の清蔵じゃあるまいし、1年間じっと待つのも辛いものだ。とにかく今は、少しく離れたこの地にあって公演の成功を願う。