霧の終着駅

 午後、東宝。月組公演『エドワード8世:王冠を賭けた恋』と『Misty Station:霧の終着駅』を見る。主演男役の霧矢大夢と主演娘役の蒼乃夕妃は、この公演をもってそろって退団。また、一色瑠加・青樹泉・彩星りおんなど、主演の2人を含めて8人が一挙に退団することになっている。
 多くの人があちこちで書いているように、今度の公演はパンフレットがちょっとした「見物」になっている。すべての登場人物54人分のプロフィールが3ページにわたって掲載されているのだ。それにもあらわれているように、とにかく次から次へと人の出てくる芝居である。感想を簡単に言うならば、登場人物が多すぎるしセリフも多すぎる。エドワード8世の生涯を時系列で追いかけるような愚かなつくりにはなっていないので、芝居としての見応えはあるのだが、いかにしてもことばが過多になっている気がした。
 サヨナラ公演というのはさびしいものではあるのだが、ショーを見ているうちに、同時によいものでもあると思えてきた。とにかく、全編を通じて退団者への愛情に満ちあふれているのである。申し訳程度のロケットなど、いくらか不満は残る部分はあったが、ただ悲しいだけではない別れというものがあることを、知らず知らずにうちにこころが受け止めていた。
 夜、千住。久しぶりに「藤や」に顔を出す。常連さんには会えなかったが、不思議な落ち着きを取り戻した気分。これで勢いをつけ、年度末の仕事にケリをつけよう。