眼力

 一昨日、お寺の帰りのこと。最寄り駅の前で解散しようというとき、髪をきれいにお団子にして背筋をピンと伸ばした女の子が改札口から出てきた。Sさんと私がそれに気付き、どうにもならぬ会話をして別れたのだった。
「バレエをしている子ですね」
「雪組の娘役に、ぜひ」
 ところが、この会話もそれほどでたらめというわけではなさそうなのだ。ある人のブログを読んだところ、当日、電車の中にお団子やリーゼントの女の子が何人もいるのを見かけ、音楽学校の東京での試験日だと気付いたと書いてあったのである。
 2年後に研1となる100期生の中に地元出身のタカラジェンヌがいたならば、それはきっとその子である。名前も知らないし、顔も覚えていないけれど、きっとそうに違いない。