トップへの道

 録りためてあったスカイステージを見続けて午後を過ごす。何をしているのやらと思溜息をつきながらも、中村一徳さんのショーには何の文句もないと納得する。
 2007年の花組公演『ラブ・シンフォニー』は春野寿美礼さんの退団公演。ずいぶん前に録画してあったのを見たのだが、これが実によい。テーマ曲が明快で、場面切り替えのテンポも絶妙。
 そして、今さらのように春野寿美礼にはまる。あそこまで歌の上手い人はなかなかいない。それほどの上背はないはずなのに、舞台の上でものすごく大きく見える。これを存在感と呼ぶのなら満点だ。本当に今さらの話なのだが。
 桜乃彩音をあらためて見て、その体躯のしっかりしていることに初めて気付く。華やかなロケット・ガールは、今や宙組の娘1として退団することの決まっている野々すみ花。そして、エトワールの桜一花は、じっくりと聞かせ見事に歌い上げる。
 このショーには、もうひとつの特徴として「スターの序列が破綻しない」ということがある。それは多くのファンが快く思うことであり、たいへんすっきりしてはいるのだが、ああ、あの人も、あの人も、5年後もまだトップになれていないとは思っていなかったのだろうと思うと、少し胸が痛む。