メタボリストの休日

 昼過ぎ、K君と六本木。TOHOシネマズで第三舞台「深呼吸する惑星」の大千秋楽ライブビューイングを見る。紀伊國屋ホールでの観劇からちょうど1か月。早いものだ。
 13時からの回なので、厳密には「前楽」にあたる。「舞台を見たいなら前楽、お祭り気分を味わいたいなら千秋楽」などと聞いたことがあるので、それをK君に伝えると、ある劇団のある演者が千秋楽のことを「消化試合」と称していたと教えてくれた。なるほど。
 この芝居、もう一度見ることで落ち着いて筋を追いかけることができてよかった。舞台中継というのは、自分の視点と異なる映像を押し付けられてストレスのたまることが多いのだが、今回のスイッチングは見事の一言。ライブでありながら、映像作品としても完成度の高いものに仕上がっていたと思う。
 次いで、六本木ヒルズ内の森美術館で「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」を見る。荒廃と復興、破滅と再生を繰り返す都市の姿をダイナミックにとらえたメタボリズムという運動は、増殖という概念を包括したという点において単なる「新陳代謝」の意味を超えた存在となっている。
 一方に空へ海へと生活空間を拡大しようとする意識があり、もう一方には生活のモジュールをカプセル化しようとする意識があり、それらが統合的に展開されるという点にこの運動のたくましさがある。そのたくましさはまた、広島における「ピースセンター」の建設と、戦後に生まれたスラムを解消するための高層住宅の建設とが、同一の文脈において説明されることにも象徴されている。