広島へ

 広島で編集会議。企画中の書籍の執筆者が一堂に会し、それぞれが原稿を持ち寄ってプレゼンすることになっているのだが、持って行くべき原稿がなかなか捗らない。最後のチャンスは行きの新幹線だ。4時間あればいくらかは進められる。こういうときのためにイー・モバイルと契約しているのだから、車中からファイルをメーリングリストに送ればいい。
 指定席はすべて埋まっていると聞いているので、早めに東京駅に行って自由席を押さえることにしよう。広島止まりの方がいいな。送稿したあと、うっかり寝てしまっても大丈夫だ。
 のぞみ101号広島行きは7時40分発。うまい具合に窓際に席を取ることができた。N700なので電源の心配もいらない。発車前からパソコンを開き、ひたすら書きまくる。
 新神戸を過ぎたあたりでパソコンがおかしなことになった。CPUが暴走しだしたのか、保存したはずのファイルの容量が0KBになってみたり、コピー&ペーストが何度も繰り返されてみたり。万事休すと一度は天を仰いだが、フォルダ内にバックアップファイルを見つけ、なんとか修復。やれやれだ。
 どうにか8,000字ほどのラフなものを書き上げたのが福山の手前だった。急いでメーリングリストに送稿すると、すぐに不着のメッセージが帰ってくる。いよいよおしまいか。いや、落ち着け、落ち着け。頼みの綱のUちゃんに私信で送付。あとのことをお願いし、ホッと一息ついたと思ったら「まもなく終点」の車内アナウンス。
 広島着は11時45分。ああ、お腹がすいた。そう言えば、朝から何も食べていない。そうだ、前から食べてみたいと思っていた在来線ホームのうどんにしよう。東京ではまずうどんを口にしないのだが、西の方に行くと急に食べたくなる。なんだかいろいろなものが乗っている「スペシャルうどん」が600円。噂には聞いていたが、人気のほどが理解できるおいしさだった。
 会場となっている大学までは広島交通のバスで。途中、バスセンターのスロープから市民球場の解体工事の様子が見えた。外野スタンドの一部を除き、すっかり更地になっている。あとで調べてわかったのだが、このスタンドは永久保存が決まっているのだそうだ。
 会議は実に有意義なものだった。分担執筆のかたちをとると、無用な繰り返しや矛盾した記述などが生じてしまうことがあるが、それが回避されるのはよい。何より、スタンスの異なる者たちがそれぞれの目線で英語教育を語り意見を交換することの面白さを感じた。よい本ができそうだ。執筆者の1人に加えてもらって本当にありがたい。
 懇親会は4次会まで。松山千春を原曲キーで歌う人、どんな曲でもハモッってしまう人、懐メロを歌う若い人。圧巻は突然マジックを始めた人だった。あなた、そのステッキはいつから仕込んでいたんですかと心の中で突っ込みながら、なるほど面白い本が生まれるわけだと納得。念願かなって流川の「餃子センター」に行くこともできて、広島の夜を堪能した。
 さてさて、帰ったら今度は例の「人には言えない仕事」が待っている。それをやっつけたら、中学生の勉強を見るのに並行して研究発表の準備。大掃除はどうする。