寺報こそ寺宝

 午後、竹の塚のお寺へ。組(そ)門徒会の報恩講である。御遠忌の年もこうして暮れていくことを思うと感慨深い。
 ご講師の先生からご自坊の寺報をいただいた。手づくりのあたたかみにあふれた素敵なニューズレターである。本体はB5判4ページなのだが、たくさんの附録がはさみ込まれていて、小学館の学習雑誌や学研の『科学』と『学習』を手にしたときのようなワクワクした気持ちを思い出した。
 あとで坊守さまにうかがうと、ワープロを覚えて使い始めたが、手書きの文字が読みたいのだとご門徒に言われ、せっかく身につけた技術を封印したとのこと。また、できあがるたびに何時間もかけてご門徒の家を回り、一軒一軒に届けていらっしゃるとのお話だった。
 寺におけるコミュニケーションがどのように担保されるかと言えば、こういう地道なやりとりをおいて他に方法はないのではないか。もちろん、門徒の数や居住範囲などの違いから真似のできないこともある。大切なことは、そこに伝える者と受ける者とのこころのやりとりがあるかどうかを確かめることである。