統理大衆一切無礙

 怒濤の報恩講ウィーク。今日は港区・芝のお寺におまいりする。このお寺の外陣には、暁烏敏師の筆になる「統理大衆一切無礙」の額がかかっている。三帰依文の一節だ。
 ずいぶん前のことになるが、所属寺の総代を務めておられたKさんと一緒にこちらのお寺の報恩講におまいりしたとき、その額はご自分が表装されたのだと教えていただいた。Kさんのお仕事が表具師だと知ったのはそのときだった。
 三帰依文を唱えるとき、私はどこにいても必ずこの額の文字を思い浮かべる。そしてKさんのことを思い出す。Kさんがお浄土に還られてもう3年になろうとしているが、「大衆を統理して一切無礙ならん」と口にするとき、いつもKさんと出遇わせていただいているような気がしている。