Made in Occupied Japan その後

 英語に関わるある学会のメール通信に、Made in Occupied Japan という表現について、それをご存じないとおっしゃる「団塊の世代」の方からの問い合わせが掲載されたのを見て愕然としたのは一昨年の春のことだった。
http://d.hatena.ne.jp/riverson/20090321
 当時のメールを捨てずに取ってあったので再読してみたが、2年半前の私の気持ちをあらためて整理することとなった。それは、(1) occupy という語の本質を考えれば、その表記を「強制されたもの」と考えるのが当然だろう(つまり、質問するまでもない)ということと、(2)いやしくも研究者を名乗るのであれば、人に聞く前に自分で手を尽くして調べよということであった。そして、今さらながらに思い知らされたのは、英語を学び教え、その周辺を「研究」している人であっても、縁がなければ出会わないことばがあるということだった。
 今日、2年生の授業で使っている「『ピー単』の金メダル」に occupy という単語が出てきた。黒板に Made in Occupied Japan と書いてどういう意味と思うか尋ねてみると、すかさず手を挙げて「それは『占領下』にあったという意味ですか」と発言する学生が1人。たいした「英学徒」だと感心しながら、目先のことばに振り回され続ける今の学生たちに、この「無駄」とも思える表現が意味を持つことを願ったことだった。