出講不要

 今日は土曜日。高等学校の出講日に当たるのだが、実力テストの実施にともない通常の授業がなくなったため出講不要となった。テストの監督に限らず、非常勤講師に通常授業以外のことを依頼しないというこの学校の方針は一貫している。その理由はよくわからないのだが、個人的には非常勤講師として大事にしてもらっているように感じている。
 専任職で仕事をしていた頃、非常勤講師は時間で契約しているのだから使わなければ損といった声を幾度も聞いた。それも複数の学校で。しかも経営の側にいない教員の口から。私はそのたびになんとなく嫌な感じを抱いてきたのだけれど、こうして自分が非常勤の仕事をするようになって、そういう人たちの考えの根っこに何があったのかを思い知らされたりもした。
 最もわかりやすかったのは、先年辞めてしまった学校でのことだった。数年にわたって非常勤講師として暮らし、ようやく専任の職を得たという人の言動だった。その中身をことばにしてしまうとそれこそ身も蓋もないのでやめておくけれど、自分がそうであったことを忘れ、非常勤講師という立場を見下してみせるということは、裏を返せばそのときの自分が嫌で仕方がなかったのかもしれない。そうであれば気の毒にも思えないことはないけれど、実害を受ける身としてはなんとも厄介な話ではある。