緊急速報

 上野原で5限目の始まったときだったから、17時になったばかりだったろうか。ポケットに入れてあった携帯電話が激しく振動して聞きなれぬ音を立てた。何ごとかと画面を見てみると、福島県で地震が起きるとのこと。初めて携帯電話で緊急地震速報を受信したのだった。受講者の少ないクラスで、学生は5人しかいなかったが、そのうちの一人もあわてて携帯電話を手にしていた。
 音も振動も切った「サイレント・モード」にしていたのだが、その設定を無視しての緊急速報だったわけで、みごとに役割を果たした格好だ。映画館やコンサートホールにいるときだったら、重苦しい会議の最中だったら、クルマの運転中だったらと、あわてることや周りの人の顰蹙を買うことも想像してみたが、自分のいる場所で大きな地震が起きることを教えてくれたのだとしたら、これはありがたい情報になったことだろう。今回のことで地震速報への「備え」ができるようになるならば、それはそれでよいことかもしれない。
 さてさて、5人だけのクラスはなかなかの充実ぶりで、学生たちも満足の様子だった。ひとりの学生が「濃かったです。中学や高校のときに、こんな少人数の授業をしてもらえばよかった」と言っていたが、まったくその通りだ。すべての国民に英語の力をつけさせようと本気で思うのならば、クラスを小さくするために、そして教員に力をつけるために、きちんと税金を使わなければならない。免許を取り上げるための方策を講ずる暇があるのなら、そのことを考えろと言っておきたい。