歌を取り戻す

 Nコンの関東甲信越ブロックコンクールをテレビで見る。番組の構成上、参加校の自由曲を数多く聴くことになるのだが、これがなんとも辛い。声に厚みがあるとか、ハーモニーが美しいとか、表現力があるとか、そういう問題の前に、歌とは何かという根本的なことを問わずにはいられなくなる。
 例えばクルマ。操舵性がよいとか、燃焼効率が高いとか、居住性に優れるとか、そういう指標ばかりでクルマを評価しようとすると無理が生じてくる。クルマは乗って楽しいということこそが大切だと思うのだ。
 で、歌。ああいう歌って、歌っていて楽しいのだろうか。私はと言えば、聴いていて少しも楽しくなかった。あんた素人でしょと言われてもかまわない。専門家だけが評価する歌なんて歌なのかしらと思っているから。
 無伴奏結構、外国語結構。ただ、この流行を断ち切って「歌」を取り戻すムーブメントは起きようもないものなのか。それが知りたい。
 夜、姪が借りてきたという映画『ヘアスプレー』(原題:Hairspray、2007、アメリカ)を見始めた。横目で見ているつもりだったが、うっかりはまってしまう。劇場で見てみたかったな。この映画、日本でのプロモーションの方法を間違えたのではないか。森三中ねえ。