商人の誇り

 生田は夏の学園祭の準備のため午後が休講となった。空いた時間を使い、六本木・浅草・錦糸町と、昔の都電みたいな動きをして、あれこれ見たり用を済ませたりしてきた。
 浅草では、テプコ浅草館で「まぬけもの展」という不思議な展示会を見た。開催の趣意書には以下のようにある。

環境月間企画「まぬけもの展―視点を変えてエコ・アート」
三遊亭あほまろ・町田忍・なぎら健壱・やくみつる 4人展


 身の周りにあるもので、普段は関心を示さないものでも、視点を変えてみると、そこには自分にとっての新しい価値が生まれてきます。捨てればゴミでも、回収すれば資源、とって置けば立派なコレクションにもなる自分の大切な宝物です。
 『もったいない』『おもしろい』と思う感性から生まれたコレクションの数々を出品者4名の環境メッセージとともにご覧いただけます。
 環境・エコの見方を自分なりに考える機会をご来場者さまに提案する展示会です。

 エコとか何とか言う以前に、他人にとってはゴミでも、当人にとっては立派なコレクションであるというところに意味がある。研究者がいのちをすり減らす思いで集めた資料群も、その人のいのちが尽きてしまえば、まさにゴミ同然に捨てられていく。そんな事実を思い起こしたことだった。
 いちばん惹かれたのは、三遊亭あほまろ氏のコレクションにあった百貨店などの「シール」だった。ステッカーでもラベルでもないシールは、品質を保証する商人の誇りだ。銀座伊東屋のを見つけて喜んでいたら、写真を撮ってもよいと言ってもらえたので携帯電話でパチリとやってみた。それが今日の1枚。