甍の波

 あまりに唐突だったと自分でも思う。けれど、どうしても声をかけずにはいられなかったのだ。上野原の大学の講師室でいつもお目にかかる先生がペットボトルを入れるのに使っていらっしゃる布の袋の「がら」にどうも見覚えがある。それは、真宗本廟の両堂等御修復に際してご懇志をお納めしたときに記念品としていただく風呂敷のデザインとたしか同じはずなのだ。
 先生もお東のご門徒でいらっしゃいますか。私がそうおたずねすると、何年か前にお父さまがお浄土に還られたとき、須弥壇収骨のため本山に上がられた折りにいただいたものだと話してくださった。授業の始まるほんの数分前のことで、ゆっくりとうかがうことができなかったのが残念だが、次の機会にまたお話しさせていただこうと思う。
 見覚えのあった風呂敷のデザインというのは、御影堂と阿弥陀堂の瓦屋根をモチーフにしたものだ。私はタイミングを外してしまい違うものをいただいたのだけれど、その風呂敷が記念品に加わったと知ったときには、もう一度瓦懇志をしようかしらと真剣に思ったくらい気に入ったものだった。デザインのよくわかる画像を「不法に」入手したけれど、さすがにここにアップはできないので心のうちにとめておこう。