Get set!

 今朝、運転中に聞いたラジオ*1で、陸上競技のスターターの合図が英語の「Set」に統一されたことを知った。これまでの「用意」という合図では、スターターによって長さが異なりタイミングが取りづらいという声が多かったそうで、国際規則がフライング1回で即失格と変更されたのにともない、これに慣れさせる狙いもあって、英語に変更したのだという。
 聞きながら「でも、待てよ…」と思っていると、番組は私の思う方向に進んでいった。スターター歴50年という72歳の野崎忠信さんによれば、(1)英語で合図したからといってタイミングが取りやすくなるわけではなく、(2)競技者が同じタイミングで静止できる合図の方法を研究すべきだというのである。
 まったくその通りだと思う。この私、まったく走れないし、跳べないし、投げられないのだが、陸上競技部の顧問を任されていたことがある。競技会に行ってみると、スタンドで聞いていてもタイミングの取りやすい合図と取りづらい合図のあることがわかった。低い声で静かに「よーい」と言ってくれればよいのだが、「よーーーい」などと大きな声を張り上げられてしまうと、かえってタイミングが取れないのである。
 野崎さんも同様のことをおっしゃっていた。この方が代表を務める「全国陸上競技スターター研究会」では、東京オリンピック以来、数々の大会で「用意」の「よ」から号砲までの時間を計り、どれくらいの長さがよいのかを検討するとともに、個人間のばらつきをなくす努力を重ねてきたのだという。
 問題は、学び合い確かめ合うことをせずに、好き勝手な合図を続けてきたスターターたちにこそあるのではないか。陸連のエラい人たちが日本語を英語に変えれば万事うまく行くなどと考えているのだとしたら、これはずいぶんと大きな問題だ。そう言えば、授業を英語でやればうまく行くなどという人たちもいたような気もするが、こちらはどうだろう。

*1:TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」中の「現場にアタック」のコーナー