出自不明

 吉祥寺で答案を引き取り、その足で上野原まで。授業が終わると、一人の学生が近づいてきて「先生の授業、おもろいなあ」と、明らかに西の方の人だとわかることばで声をかけてくれた。京都は山城の出身だとのこと。その学生が私の出身地をしきりに尋ねるものだから、どうしてか聞き返してみると、私のことばや話し振りの中に「関西ノリ」を見出したのだと言う。
 東男(あずまおとこ)に京女(きょうおんな)なんと言うけれど、両親はその組み合わせだ。父方はもとは岡崎の出だそうで、父の代から「江戸っ子」ということになるようだ。荒川区の尾久に越す前は、神田の小川町に店を構えていたらしい。母の方は、父親が広島で母親は岡山の人。母の生まれは京都市内で、北大路堀川の辺り、上京区(現在の北区)は紫野御所田町とのこと。
 で、私の中の「関西ノリ」とはどこから来たのかしら。上方のお笑いも好きだし、縦縞のユニフォームも応援してはいるけれど、アメリカで「あなたは西海岸で英語を勉強しましたか」と現地の人に聞かれた時以来の軽いショックだ(しかもそれがお世辞であったことは明らか)。まあ、最近は「広島弁もどき」のことばで人を煙に巻いたりしてもおるんじゃが。おっと。