cancellation

 休日。さすがに髪もぼさぼさになってきたので床屋に行く。連休はお出かけですかなどと聞かれ、このところゴールデンウィークに遠出などしていないことに気付いた。連休中に何をしているかと言えば、事務仕事をしているのである。5月の中旬に全国大会を開催する会にとって、この連休はまさに事務仕事のゴールデンウィークだ。
 会員台帳を電子化して運用を始めたのが2005年の9月だったから、もうかれこれ5年近く前のことになる。会員台帳に登録されている情報を「名簿原票」として刷り出し、会員のみなさんにお送りする。会員のみなさんには、確認のうえ変更点や修正点があれば伝えていただく。この形式は、いくらか手間はかかるけれどずいぶん合理的だと思う。
 今年から「名簿原票」を送り返す代わりにメールで情報をお寄せいただくこともできるようにしたが、多くの方は郵便を利用される。間もなく発行される「最後の」月報にも書いたことなのだが、今日はちょっとここでフライングしてみる。
 事務の担当者としてまず楽しみにしているのは、封筒の表に貼られた切手である。記念切手を選んでくださる方、少額の切手を何枚か合わせて80円にしてくださる方、さまざまの方がいらっしゃる。記念切手に限らず、切手のわずか数平方センチメートルに凝縮された美しさにはまったく感心する。眺めていてまったく飽きることがない。
 そして、実は密かな喜びはもう一つある。それは消印を見ること。懐かしい地名に憧れの地名、読み方を知らない土地の名前もある。「北は北海道から南は九州・沖縄まで」などという古い言い回しがあるけれど、まったくその通りで、名簿原票は全国各地から送られてくるのだ。封筒の裏に差出人の名前のないときには、消印だけを頼りにどなたからいただいたものなのかを当ててみたりもする。こんなことに喜びを感じる人は少ないだろうが、これは事務担当者の「特権」かと思ったりもする。
 消印という名のことを考えたことはなかったが、この捺印するという作業には、貼られた切手が使用済みで無効となったことを示す目的があるようだ。つまり「消印」は切手の効力を「消す印」。それで、英語では cancellation と言うわけね。もっとも、英語が先で、これを訳したのが「消印」ということになるのだろうが。