東京外国語大学。言ってごらんなさい。

 TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』のオープニングトークは、先週に引き続き「鼻濁音」がテーマ。鼻濁音は私の母語に含まれている音ということもあって、あまり意識せずに使っているものだから、久しぶりに内省的に考える機会をもらってありがたく思った。2週続けておもしろかった。その内容は、どちらもポッドキャスティングで聴くことができるようだ。→http://www.tbs.co.jp/radio/nichiten/pod/index-j.html
 先週のトークでは Wikipedia の「鼻濁音」の項に自分が鼻濁音の使えないアナウンサーと書かれていることを話題にしていたが、今日見てみたところ、その部分は削除されているようだ。具体的には「昨今では芸能人やアナウンサー(代表的な例、木村拓哉、Gackt、安住紳一郎等)でも、また若い世代の多くが鼻濁音を使わなく(あるいは使えなく)なってきている。」とあったものが「昨今では芸能人やアナウンサーでも、また若い世代の多くが鼻濁音を使わなく(あるいは使えなく)なってきている。」と変わり、人名を例に挙げた部分がきれいさっぱりなくなっている。インターネット上の情報を引用するときには日付や時刻を明示することが大切だというよい見本にもなっておもしろい。ここでは適当にしているけど。
 安住さんは意識して鼻濁音を使っていらっしゃるようで、つまりは母語干渉をじょうずにコントロールしておられるわけだが、今日の放送ではリスナーからのメールを読むうちに思わぬところで出身地に特有の音声的特徴が出てしまった。ご自身はお気づきなのだろうか。それは、以前、同窓にして元同僚のM先生に教えていただいた「幼稚園」のアクセントなのだが、詳しくは2008年9月16日のエントリーを。→http://d.hatena.ne.jp/riverson/20080916/1202223555
 今日の標題は、英語の教員を目指す者のために開講された音声学の授業中に、竹林滋先生がある学生を指導するためにおっしゃったことば。その学生は、残念ながら自分の「鼻濁音」の発音が問われていることに最後の最後まで気がつかなかったもので、とうとう「あなた、東京の人じゃないですね」と言われてしまった。問題はまったくそこにはないのだが、なんとも印象的な場面だった。英語の発音を教える仕事につきたいのならば、日常の言語生活で使うかどうかは別として、鼻濁音くらいわかっておきたいと思う。