一人一票

 ひと通り選挙報道を見たけれど、ごく一部の人を除いて、評論家やら政治部の記者やらの言ったり書いたりすることがあまりにもつまらない。僕らが居酒屋でしゃべっている程度のことでお金がもらえるとは、まったくうらやましい話。今回の選挙結果が、政権党や財界の紐につながれている評論家や、記者クラブのぬるま湯に浸りきった記者たちの背筋に冷たいものを走らせるものになってくれないかと期待したい。


 選挙がらみで今日の朝刊に載っていたニュース。まずは「時事ドットコム」から*1

投票用紙、小学生に交付=大柄で成人と思い込む−大阪市


 大阪市選挙管理委員会は30日、同市西淀川区の投票所で、父親と一緒に訪れた小学生の女子児童(11)に、衆院選比例代表と最高裁裁判官国民審査の投票用紙を誤って交付したと発表した。誤交付した担当者は「大柄だったので成人と思った」と説明している。
 児童が投じた票は特定できず、有効という。市選管は「深くおわびし、再発防止策を検討する」としている。
 市選管によると、同日午後、投票所に来た父親が小選挙区の投票を済ませた後、比例代表と国民審査の投票用紙を受け取る際、後ろにいた児童も用紙を渡された。記載台で記入し投票した児童は「用紙を渡されたので投票した」と話しているという。
 別の係員が児童の幼い様子に気付き、未成年と分かった。
(2009/08/30-19:55)

 続いて「47NEWS」より共同通信の配信記事を引用*2

誤って小学生に投票させる 大阪市選管「大柄で…」


 大阪市選挙管理委員会は30日、衆院選の同市西淀川区の投票所で、事務員が比例代表と最高裁裁判官の国民審査の投票用紙を小学生の女児(11)に誤って交付し、投票させるミスがあったと発表した。
 女児の投票用紙を特定するのは困難で、公職選挙法上、有効投票になる。女児は身長約150センチで、事務員は「大柄で選挙人と思い込んだ」と話しているという。
 市選管によると、女児は同日午後2時ごろ、父親(47)と一緒に投票所を訪れた。父親が名簿対照と小選挙区の投票を済ませ、比例代表と国民審査の投票用紙を受け取る際、事務員が女児にも渡してしまった。女児は記載して投票した。
 投票所の責任者が直後に「未成年ではないか」と思い、女児らに確認して小学生と判明。父親は気付いていなかった。
 市選管は「予想もつかない事態。再発防止策を検討する。深くおわびする」としている。
2009/08/30 19:47 【共同通信】

 この選管では小選挙区の投票用紙を交付するのを投票所入場整理券と引き替えにしてしまっているのだろうか。比例代表と国民審査の投票用紙を交付するまで整理券を持参人に持たせておけばよいだけの話だと思うのだが。現に私の地域の投票所では、小選挙区の投票用紙が交付されるときには所定の欄にチェックの入れられた整理券が投票用紙と一緒に手許に返ってくる。整理券が選管の手に渡るのは比例代表と国民審査の投票用紙が交付されるときである。
 そもそも、投票所入場整理券を持っていない者を(介護の必要な人に付き添って来た人や、整理券を忘れたりなくしたりした人などを除いて)投票所に入れないことだ。要するに子どもは(乳児は別として)外で待たせておけということ。投票所はたいてい一方通行になっているが、通路を工夫するなどして投票を済ませた人が外で待っている子どもと落ち合えるようにすればよい。
 この話、選管の不手際もさることながら、子どもを連れて行ってきちんと見ていない親の責任も問いたいところなのだが、だいたいがおかしくないか。この小学生は何を書いて票を投じたのか。政治に興味のある子どもなのか。だったら、子どもは投票できないということを最初に覚えた方がよい。いや、これはどうしても一票が欲しい人々の謀略ではないか。あれこれ考えるうち、そんなことさえ思われてくる。


 この件のほか、神戸・浜松・福山などから二重投票をさせてしまったという不手際もニュースとして伝わってきている。投票したあとで自分から申告して来たという例もあるようだが、投函された票はどれが誰の投じたものかは特定できないためすべて有効とせざるを得ないわけで、そのことをよく知っていて、責任だけは選管に押し付けながら巧みに2票を投じてしまうという、やはりどうしても一票が欲しい人々の謀略ではないかと疑ってしまう。
 いくらなんでもモノを斜めに見過ぎか。でも、一人一票の原則が崩されてはたまらないし、それが選挙の事務をつかさどる人々のでたらめによってもたらされてしまうのでは困るのである。
 私は私の一票が大切だから、誰かに消しゴムで消されてしまわないようにペンを持って投票に行く。およそ大事な書類の中で鉛筆書きが認められるのは投票用紙くらいなのではないか。誰も消しやしないとは思うのだが、私のような「持たざる者」にも一票を投ずる権利を与えるためにいのちをかけて闘ってくれた人々の思いにこたえようと、私のスタイルをつくったのである。

*1:http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009083000550

*2:http://www.47news.jp/CN/200908/CN2009083001000460.html