La Pierre

 思いがけぬところでパイプの愛好家と出会ったが、100円ライターで火をつけるのは見ていてたいへんそうだったし、タンパーもお持ちでないようで火種を押さえるのにも苦労されていた。ならば、私の出番である。
 国立に成績を出しに行ったあと、錦糸町に出向いて何年かに一度おじゃまする喫煙具の店「La Pierre」へ。予算の半分程度で手頃なパイプ用ライターとタンパー(コンパニオンと呼ぶべきか)を見つけた。あとで気付いたが、ライターは国産だが Butz Choquin(BC:ブショカン)のマーク入りだった。たしか先日お目にかかったときにお持ちのパイプは BC だったから、ちょうどいい。
 喫煙具のお店のご主人は、かつて勤めていた学校の陸上競技部のOB。現在出講している大学のOBでもあり、同窓と言えばそういうことにもなる。あれこれ話したあと、久しぶりに煙草も買い求める。アメリカの煙草はモタモタするので使わないのだが、Mixture No.79 のメンソールだけは別だった。これが出荷停止になったとのことを聞き、懐かしさとともに手を伸ばした。
 夜。あれこれの小道具を机の上に並べ、パイプを掃除したり磨いたり。久しぶりの一服は、確実に健康を蝕んでいるのだろうが、至福とも呼ぶべき時間を与えてくれた。